前書き公開【1】あなたの会社が最速で変わる7つの戦略

前書き公開【1】あなたの会社が最速で変わる7つの戦略
2016-12-05

じつは、本書の内容は「生き残ろうとするマインド」からはほど遠い。
正直にお伝えすれば、生き残りをかけて頑張ろうとする会社は、残念ながらまず生き残れない。その思考自体に、生き残れない原因があると、私は考えている。

なぜなら、過去からの延長線上の努力をすればするほど、あなたの会社は辛く苦しくなるからだ。だから、生き残るよりも、もっと賢い方法を、これからお伝えしたい。

まず、次のチャートを見て欲しい。

あなたの会社が最速で変わる7つの戦略 解説図

私のコンサルティング経験を踏まえ、マーケティングモデルの進化と、市場規模・収益率をプロットしたものである。結果を、ひと言でいえば、「頑張れば頑張るほど、事業規模は大きくなるけれど、経営は厳しくなっていく」ということだ。

簡単に説明しよう。
ゼロから事業をスタートした場合、はじめはコンサルティングや制作請負など、自らの労働力の提供によって収益を確保する。この場合、労働力がボトルネックになってしまうので、よりスムーズに拡大できるように、次には、自社ノウハウを「コンテンツ」にまとめて発表したり、システム化・講座化して「プロダクト」として販売したりする。
その結果、労働力の制約なくして事業が拡大できるようになるが、次第にライバルの参入が相次ぎ、価格が下がり始める。

そこで顧客が流出しないように、顧客との関係性を強化するためニュースレターを発行したり、イベントを開催したりするようになる。ここで「コミュニティ」へと発展させようとするのである。
すると多様な顧客から多彩な要望が入り始め、要望に応えるたびに商品点数が増えていく。「ショップ」を出すことで、幅広く新しい顧客にリーチできるようになるのだが、事業が複雑化。固定費も上がり、収益率は下がっていく。

ここまでの成長プロセスは、人口が増えていく経済下では、まったく問題なく機能してきた。いまでも成長している市場においては、うまくいく鉄板のモデルだ。しかし、人口が減少していく経済下では、限界にぶつかる。物理的に顧客を集めるモデルでは、未来に向けて成長する道筋を描き続けられなくなるのだ。

このボトムが、V理論での谷底である。もはや未来は、過去の延長線上の努力の先にはない。現在と未来との間には、大きな亀裂が生じている。にもかかわらず、「生き残りをかけて……」というスローガンを唱える会社は、周りも同じような努力をする会社ばかりに囲まれている。集団的な思考停止状態に陥っているから、みんなで崖に向かって行進し、見事に谷間に落ちていくのである。

●2020年以降は、人口減に加えて、さらに……

これから会社は、過去からの延長で生き残るのではなく、むしろいったん死を受け入れ、再生するぐらいの変化を遂げる必要がある。いい換えれば、未来に似合うビジネスへと完全に進化しなければならない。

しかも、その決断のタイミングが、カウントダウンに入っている。

日本の人口は、2005年から減り始めたといわれるが、じつは消費が最大となる50代人口は増えていたので、総支出額はいまも増え続けている。しかしそれも、2020年頃にはピークアウト──人口だけではなく、使うお金の額がついに減少し始めるのである!

また同年までには、東京オリンピックに向けての特需も消えるから、景気を維持し続けるためには、相当、大規模な経済対策の追加が必要になろう。さらに2025年には、年齢構成上、最も人口が多い団塊世代(約800万人)が、すべて後期高齢者(75歳以上)となる。その結果、国民の5人に一人が75歳以上、3人に一人が65歳以上という、人類が体験したことがない超高齢化社会に、日本は突入する。それまでは、経営力を高めることにより、同じ地域で仲良く生き残れてきた会社も、2025年以降は、熾烈な食い合いを始める。既存の市場で残るのは、本当に強い、ほんの一部の会社だけになっていくことは、火を見るよりも明らかである。

これだけの大変化は、江戸時代から明治時代へのシフト、太平洋戦争終戦前から終戦後へのシフトに匹敵するほどだ。武士や軍人が役割を終えたように、たった10年間で多くの職業が消えてなくなる。

これほどの歴史的変化が、この5年後から本格化する。だから、重要な問いは──、「どうしたら生き残れるか?」ではなく、「これから5年のうちに、どうしたら会社は生まれ変われるか?」なのである。

●3年後に年商10億円よりも、5年後に年商100億円

このように客観的に時代の趨勢を予想すれば、ひと昔前のビジネスに固執するかぎり、生き残ろうとするのは、相当、困難だ。しかし、生き残るから、生まれ変わるに思考をシフトすると、とたんに肩の荷が軽くなり、可能性が一気に広がる。

ある若手経営者が、口元を引き締めながら私に話しかけてきた。
「いまの事業を、3年後に年商10億円にしたいと考えています」

私は、首を傾げながら、次のように答えた。
「……、ごめん。聞き違えたかな?桁が違うんじゃない?」

相手は、何をいわれたのか、キョトンとしている。
私は続けた。
「創業8年の、エアビーアンドビーは時価総額3兆円。配車アプリのウーバーも、創業7年で時価総額7兆円。起業したら、5年で年商100億円が、もはやシリコンバレーのスタンダードなんだ。こうした会社の経営者は、あなたと年齢も経験も変わらないのに、なぜあなただけ年商10億円を目標にしているのかな?年商10億円をめざすと、周りのおじさんたちに『お前に、できるはずない』と、足を引っ張られて大変なんだよ。年商100億円とか500億円とかを目標に掲げたほうがいい。すると、周りは理解できないから、かえってスムーズに成長できるんだよ」

彼は、とたんに目を輝かせ始めた。
「……たしかに、5年で年商100億円をめざすほうがぴったりきます。自分にできることが、むしろ明確に定まりそうです。本当にやっちゃっていいんですか?」

「ええ、やっちゃっていいんです。私が許可しましょう」

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