前書き公開【3】あなたの会社が最速で変わる7つの戦略

前書き公開【3】あなたの会社が最速で変わる7つの戦略
2017-01-07

あなたの会社の強みを凝縮した商品(もしくは事業)を、二つ選択するのだ。

「ええっ、神田さん。ひとつではないんですか?」

経営の大原則は、「選択と集中」。だから賢い人は、会社のリソースを分散せずに、ひとつの強い分野に集中させなければならないと考えるだろう。これはたしかに正解なのだが、実際には、その正解を実践できる会社は少ない。

なぜなら、ひとつの強い分野だけで戦おうとすると、あなたよりも強い会社が必ず現れるからだ。
たとえば、あなたが映像制作事業を手がけているとしよう。映像制作に絞り込み、トップになろうと思っても、あなたよりも規模が大きく、また経営力も秀でたライバル会社との競争に直面するだろう。しかし、そのとき、あなたが教育事業も手がけていたとしよう。その二つの事業の強みを組み合わせ、教育効果を測定する機能を備えたEラーニングのプラットフォーム事業という新しいビジネスに取り組んだらどうか?

ひとつの強みだけにフォーカスすると、ナンバーワンになるのは難しいが、二つの強みにフォーカスすると、その二つを同時に持っているライバルはぐっと少なくなる。さらには、その二つを組み合わせて、ひとつのコンセプトに練り上げると、あなたはオリジナルな事業分野を生み出し、まったく新しいジャンルで、ナンバーワンの座を短期間で獲得する。
これを私は、「BABYMETAL戦略」と呼んでいる。

BABYMETALとは、アイドルとヘビーメタルという両極をひとつにしたダンスユニット。坂本九以来53年ぶりに、米国ビルボードチャートの40位以内にランクインし、全世界的にブレイクしている。いままで結びつかなかった「アイドル」と「ヘビメタ」をひとつにまとめあげ、独自のジャンルを生み出した。その結果、10代のアイドルファンから、50代のヘビメタファンまで、年齢を超えて、いままでつながらなかった人々がつながり始め、大きなムーブメントを引き起こしている。

このように、いままでつながらなかった両極端をつなぐことは、独自の商品や事業を生み出すうえで、非常に強力だ。ポケモンGOは、デジタルゲームを現実空間につないだ結果、ゲームをやらなかった層をゲームに向かわせ、引きこもりのゲーマーを現実空間に向かわせた。結果、連続テロの恐怖に怯えていた世界が一瞬のうちに、ポケモンGOの話題一色となるほどの変化をもたらした。

未来に向けて進化するビジネスモデルと聞くと、難しい知的作業をしなければ、生み出せないように思えるが、すでにあなたの会社のなかにある強みを組み合わせると、未来に似合う新しい形が浮かび上がる。

しかも、それは、あなたにとって未知なるものを獲得するのではなく、あなたにとって馴染みのある、得意分野を新しい形で表現するだけだから、難しいことはない。アップルウォッチが新しい発明ではなく、基本機能はiPhoneやiPadと同じだったように、ほんの少しパッケージや組み合わせ方を変えただけで、まったく新しい価値を持ち始めるのだ。

●新規事業を生み出す、完璧な環境が準備されている

いまオリジナルな価値を見いだした会社は強い。
なぜなら、先ほどもいったように、それをスピーディーに世界へ広げていく技術、環境、そして方法論はすでに準備されているからである。

しかも──、2020年に総支出も減り始めるといったが、逆に見れば、2020年までは、新しいビジネスを生み出すのに、これ以上はないというほど完璧なタイミングだ。消費が旺盛な50代人口が増え続けるということは、その間に、彼らのニーズをとらえた新しいビジネスを多数、創れるのである。さらに2025年以降、後期高齢者が急増するということは、健康維持、医療、介護のあり方に根本的な変化が起こる。食習慣、定年後の働き方、生活環境など、人々の意識が変わり、いままでとても売れるとは思ってもいなかった商品やサービスが次から次へと開発・普及していく。

すべての人を対象とする大きな市場では、ほんの一部の会社が生き残りをかけてシェア争いを繰り広げるだろうが、逆に、ほんの一部の人だけを対象とする小さな市場では、個性的なビジネスが無数に創られることになる。つまり、これから向かう未来では、「やらされる労働としてのビジネス」ではなく、「才能を生かす自己表現の場としてのビジネス」が多数生み出されるようになるのである。そのための理想的な開発期間は2020年までであり、すでにカウントダウンが始まっている。
しかし、いまならまだ間に合う。

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